写真のノンクラスプデンチャー2種類それぞれ別の素材で作られています。
左はエステショット、右はベルテックスサーモセンスです。
ほぼ同じ見た目ですが左は熱可塑性ポリエステル樹脂、右は熱可塑性ポリアミド樹脂と全く違う材質から作られています。
写真の義歯は、義歯床用アクリルレジンで製作したレジン床になります
レジン床とノンクラスプデンチャーは、それぞれ異なる歴史と素材から生まれ、その違いについてまとめてみました。
義歯床用アクリルレジン
歴史: 義歯床用アクリルレジンは、従来から歯科補綴治療で使用されてきた素材の一つです。初期の義歯製作では、木材が使用されていましたが、アクリルレジンの登場により、軽量で加工しやすく、価格も手頃な補綴物が提供されるようになりました。
素材の違いから生まれる利点
加工性: アクリルレジンは加工しやすく、柔軟性があります。この特性により、患者に合わせた精密な義歯の製作が可能です。
審美性: アクリルレジンは自然な歯肉色と透明感があり、自然な見た目を実現できます。硬度も高いので研磨で光沢を得やすく、審美的な結果を得ることができます。
快適性: 加工性が高いので様々な形状にすることができ、装着時の違和感を少なく、快適な使用感が得られます。
ノンクラスプデンチャー
歴史 ノンクラスプデンチャーは、より近年になって開発された補綴です。従来の部分床義歯に維持装置として金属のクラスプ(バネ)を使用していました。見た目の不自然さ、快適性に課題を抱えており、クラスプを使用しない部分床義歯を求める声にこたえる形で開発されました。
素材の違いから生まれる利点
審美性: ノンクラスプデンチャーは、クラスプ(バネ)を使用しないため、自然な見た目を実現できます。特に素材の透明性を活かした補綴を選択することで、周囲の歯や歯茎との調和が高まります。
快適性: クラスプがないため、歯ぐきへの過度な負担が軽減され、装着時の違和感が少なくなります。柔軟性のある素材を使用するので、歯ぐきにフィットしやすく、快適な装着感を提供します。
審美性: ノンクラスプデンチャーは、歯に密着する形状を持つため、外見に不自然さが生まれにくく自然な見た目を得られます。
これらの理由から、義歯床用アクリルレジンとノンクラスプデンチャーは、それぞれ異なる歴史と素材から生まれた利点を持っています。ただ、メリットもあればデメリットも存在しており、患者様のご要望を叶えるために的確な知識と豊富な臨床経験が必要になります。
せっかく選んだけど、思ったような結果を得られない場合もありますので、そうならないよう歯科医師、歯科技工士の連携体制を構築していく必要があります。
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