歯科のジルコニアは、ジルコニウムという元素から作られる高強度セラミックス材料です。ジルコニアのメリットはとにかく硬いです。なので、ジルコニアで製作するクラウンやインプラントなど強いかみ合わせに耐える素材で白い素材が選ばれるようになってきました。
10年以上前は、金属焼き付けポーセレン(通称MBメタボン)が白いクラウンの主流でした。
内側に金属のフレームを造えい、外側をセラミック築盛(ちくせい)で積層構造を付与し自然な歯の色調を再現するものでした。
現在もラインナップとしてありますが、使用する金属代の高騰、金属と陶器の異種材料の性質で、チッピングと呼ばれるセラミック破折(欠け)が起こりやすいのが難点でした。
現在、依頼数は減少しておりますが、代わりに増加しているのがジルコニアだけで作るフルジルコニアクラウンになります。
フルジルコニアはセラミックを築盛していないので、チッピングするリスクは低く、限界に達すると陶器で出来た茶碗のように割れてしまいます。が、もともとの強度がずば抜けて高いので比較的安定しており生存率はかなり高めです。
(天然歯の曲げ強度は一般的に200㎫と言われておりますが、ジルコニアは1200㎫ほど)
自然な歯に近づけるよう、表面にステイニング(着色)がしてあります。
(この手法は優れた色調の再現性がありますが、積層で作るタイプと比較すれば対応の限界があります)
さらに、フルジルコニアクラウンの中に、マルチレイヤーと呼ばれる透明度の違う複数のジルコニアを積層した材料もあります。根元は強度が高い(1200㎫)けど、不透明。先端は透明で少し強度が弱い(700㎫)ものを組み合わせてあります。
この製品が歯科技工に導入されてから、クラウンでもっとも選ばれる治療方法になりました
またCAD/CAM加工技術の向上により、インレーのような詰め物治療にも活用されています。
最後にMBとジルコニアセラミックの違いになります。構造はほぼ同じになり、中のフレームが金属かジルコニアでの違いになるだけです。
(白く不透明な部分がジルコニアフレーム、薄く黄色い部分がセラミックパウダーを盛って築盛してあります)
もともと、曲げに対して抵抗があるジルコニアはセラミックとの相性が良いため、割れたり剥がれたりなどのトラブルはかなり少ないほうです。
総合的に見た評価
審美的に優れている◎
ジルコニアセラミック > マルチレイヤーフルジルコニア > フルジルコニア
強度的に優れている◎
フルジルコニア>マルチレイヤーフルジルコニア>ジルコニアセラミック
価格的にリーズナブル◎
フルジルコニア>マルチレイヤーフルジルコニア>ジルコニアセラミック
上記比較は目安ですが、どの項目でもマルチレイヤーフルジルコニアは中間に位置しています。審美的、強度的、価格など、ずば抜けて良いわけではないが、悪いわけではない。
この評価から選ばれる理由がなんとなくわかるような気がします。
最後に製品の評価は個人的な見解が含まれておりますことご理解ください。
また、症例によって適さない場合があり、治療にあたっては歯科医師とご相談ください。
今回のブログが何かのご参考になりましたら幸いです
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